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🌱今週のST勉強室✏️ vol.9 自閉症スペクトラムの【3つのタイプと3つの脳機能】
こんにちは。ことのは1号館、言語聴覚士の原田です🙇♂️
今回は自閉症スペクトラムの3つのタイプと3つの脳の機能について書いていこうと思います👆
では最初に3タイプのお話ですが、前回に自閉症スペクトラムの4つの特性(言葉の遅れ・対人関係・こだわり・知的障害)について書きました✏️
そこで、その4つの特性をもとに、3つのタイプに分けて捉えることができます。
【自閉症スペクトラムの3タイプ】
①自閉症:自閉症スペクトラムの中核をなす障害で、対人関係の障害、コミュニケーション障害、興味・活動のパターン化、こだわりの強さなどの特性が見られます。自閉症の7割は知的障害と言葉の遅れを伴っており、一般的に「自閉症」というと、このタイプを指すことが多いと思います。
②高機能自閉症:「高機能」とは、脳の機能が高いという意味で、自閉症のうち知的障害を伴わないタイプを指します。一方で、対人関係やコミュニケーションの障害、こだわりの強さなどの特性はあり、言葉の遅れも見られます。ただし、ことばの遅れは成長と共に改善していく傾向があります。
③アスペルガー症候群:知的障害を伴わず、ことばの遅れもないのが特徴です。人懐っこかったり、話好きだったりするケースもあり、一見、コミュニケーションに問題がないように見えます。しかし、自分の関心を一方的に話したり、相手の質問に対して的外れな受け答えをしたりすることが多く、ことばのキャッチボールはできていない事が少なくありません。本当の意味でのコミュニケーションは苦手であるかも知れません。知的レベルは、標準より高い人も多く、学校では優秀な成績をおさめてきたため、障害があることに気づかれなことが多いのも特徴です。社会人になってから暗黙のルールが若らなっかたり、場の雰囲気が読めなかったりすることで失敗し、はじめて障害とわかるケースもあります。
では、上記で挙げた自閉症スペクトラムの3タイプですが、自閉症スペクトラムの原因はまだ解明されていません。しかし、脳の機能障害が関連しているのはでないかと考えられています。
【関連している3つの脳機能】
①側頭葉:顔認知(人の顔を見て、個人の識別などを認知する)の働きに深く関わっていています。また、他人の表情や視線、手や体の動きを見て、その意図や感情を読み取る機能に関わっていると考えられていますが、自閉症スペクトラムの脳の働き方を検査してみると、健常の人よりも低い事が明らかになっています。
②前頭前野:一般的には思考や判断、感情の抑制や理性などをつかさどっている部位として知られていますが、他にも様々な機能を担っています。他人の動作や表情を見て、それを自分の動作に置き換えて捉える機能で、言い換えると、共鳴したり共感したりする機能です。自閉症スペクトラムの人は前頭前野が活性化するまでに時間がかかったり、あまり活性化しなかったするといった研究結果が報告されています。
③扁桃体:不快や恐怖など、人間の情動に深く関わっていると言われています。また、他人の表情から恐怖の感情を読み取る時にも、扁桃体の働きが関与していると考えられています。自閉症スペクトラムの人は扁桃体の活動も低下している事が分かっています。
以上が3つの脳機能でした。ただし、特定の脳機能障害だけで、自閉症スペクトラムの全ての病態の説明がつくわけではないので、脳全体の回路形成に関わる障害と捉える方が、理にかなっていると思います👀👆
※次回はADHDの3つの特性と3つのタイプについて書いていこうと思います。

🌱今週のST勉強室✏️ vol.8 自閉症スペクトラムの4つの特性❗️❗️
こんにちわ。ことのは1号館、言語聴覚士の原田です🙇♂️
本日は自閉症スペクトラムについて、特性を理解する4つの視点について書いていこうと思います👆
まず、自閉スペクトラムという名前は良く耳にする言葉だと思いますが、「スペクトラム」とは「連続体」という意味です。言葉の遅れを伴う【自閉症】を始め、言葉の遅れがない【アスペルガー症候群】や、知的障害を伴わない【高機能自閉症】などそれぞれの障害の間には「境界線」はなく、「同じ病態の仲間である」という考え方に基づいて、自閉症スペクトラムという「総称」でまとめられたものです。
しかし、子供により、特性の現れ方や症状の重さには個人差が見られます😵
ですので、一人一人の特性を的確に見極める為に、4つの視点から判断すると、病態が把握しやすくなると思います🙌
その4つの視点とは①言葉の発達の遅れの有無②対人関係の難しさ③物事へのこだわりの強さ④知的障害の程度です。このそれぞれの視点で子供の特性を理解し、総合的に判断する事で、どのタイプの自閉症スペクトラムであるか見極める手助けになります🔍
例えば、知的障害や言葉の遅れはないけれど、対人関係が苦手で、こだわりが強いタイプもありますし、知的障害や言葉の遅れがあり、対人関係も難しいけれど、こだわりはそれほど強くないタイプもあります。
そこで、4つの視点のうち、まずはじめに着目するべき点は、知的障害があるかどうか、知的障害の程度が軽いのか重いのかという事です。知的障害は生活動作などから評価する事もできますが、知能指数(IQ)の目安でいうと70未満をさしさます。
知能の発達水準が低いと、言葉の遅れにも繋がりますし、状況に応じた行動をとったりする事も難しくなります。こういう場合、生活上のつまずきはかなり大きなものになり、手厚い支援が必要になる事が多いのです👆
知的障害の程度が自閉症スペクトラムの適度に直結していると考えても過言ではないかも知れません👀
以上が、自閉症スペクトラムについて、特性を理解する4つの視点でした😊
私自身も言葉の訓練を行う上で、言葉の獲得と知能の発達水準は密接にあると感じており、目標設定などを行う際に知的障害の程度はとても大事にしている視点の一つなっています❗️
※次回は自閉症スペクトラムの3タイプと関連している脳機能障害について書いて行こうと思います。
