🌱今週のST勉強室✏️ vol.6 子供の理解力👂を知って、適切な声かけ選び❗️

ST勉強室(SST)

こんにちは。ことのは1号館、言語聴覚士の原田です🙇‍♂️

前回の予告で本日は、SSTについて具体的なトレーニング方法を書いていく予定でしたが、発達障害の子供達はそもそも「なぜ社会生活で問題が生じやすいのか?」という所の脳機能の部分をもう少し掘り下げる事が大事かなと思い、予定を変えて脳機能の話を書こうと思います。急な予定変更、申し訳ありません🙇‍♂️💦

では、なぜ発達障害の子供達は社会生活で問題が生じやすいのか?という所なのですが、それは子供達の【認知発達】が関係しています。発達障害の子供達は認知発達の部分的、もしくは全体的な遅れを意味しており、知能検査や認知検査によって主に診断をします🔍。認知発達とは概念の発達とも言え、様々な物・出来事などから共通の性質を取り出し、それらをまとめあげる力の事です。

例えば、人参・ピーマン・トマトの共通点を問われた時に「食べ物」より「野菜」と考える事ができる方が概念の発達としては高度と言えます。発達障害の子供達はそういった概念の発達が遅れている為に、自身を取り巻く社会を認知する際に歪みが生じ、その歪みがそのまま行動として現れトラブルが起きやすいのです👆

それでは、認知発達に必要とされる概念とはどういうものでしょうか🤔?具体的に書いていこうと思います📚

類似概念】の発達:同じ仲間か、違う仲間かを理解する力。この力が未発達だと「型はめ」などのおもちゃで難しさが出たり、「下着の仲間」「上着の仲間」が理解できなければ、下着でお出かけしても恥ずかしいという事が理解できません❗️トランプ遊びにしても「ハートの7」と「スペードの7」が同じという事が理解できなければ、みんなと一緒に神経衰弱やババ抜きをする事が難しかったりします😢

比較概念】の発達:類似概念が育ってくると、今度は同じもの同士を比較する比較概念を獲得していく事が重要になります。「どっちが大きい?」「どっちが小さい?」「どっちが多い?」「どっちが少ない?」とまずは2つのものを比較できるようになり、この比較概念を理解する為には、対義語の理解といった言葉の発達も必要になっていきます。

また、「どっちが強い力?」「どっちがやさしい力?」などの目に見えない対義語の理解はより難し、その理解を促していく事で、自分の力を調整できる様になっていくといった行動のコントロールに繋がります。そうすると、「強く持たないで、やさしく持とうね!」といった指示も通りやすくなるかも知れないですね👆

私たち大人も、「子供たちはなぜ指示に従ってくれないか?」「なぜお友達とトラブルになってしまうのか?」という理由が分からないと、不安を抱く場合もあると思います😵 しかし、言葉の発達や認知の発達の観点から考える事ができれば、子供達にどのように伝えれば良いのか、イメージしやすくなるかもしれません👀

※具象概念についてはvol.2にて書いてありますので、参考にしてみて下さい🙇‍♂️

比較概念と優先度の選択】:比較対象が目に見えるものであれば、視覚的に見比べる事ができますが、目に見えないものは聴覚的なイメージになるので、時間差・継時的な処理となります。人は、時間的に真近のもののイメージの方が印象に残るので、例えば、「やさしいけれど、お金には厳しい人」「お金には厳しいけれど、やさしい人」では、受け取る印象は異なると思います😆

この事を考えると、まだ言葉が十分に発達していない子供の場合は、目に見えない比較概念の2つの選択肢を出された時に、後ろの選択肢を選ぶ場合が多かったりします。例えば、眠たそうにしている子供に対して、親は「寝るの?寝ないの?」という質問をしがちですが、子供がまだ頭の中で比較するのが難しい場合、「寝ない」と答える事が多く、親は「寝なきゃダメでしょ!」と叱ったりします。しかし、これは誘導尋問のようなもので、子供は本当は「寝たい」と答えたかった時もあるかも知れません😵

このように、子供達にとって目に見えない概念の比較は難しいので、練習や学習が重要だとも言えます👆

時間概念】の発達:時間概念の発達も社会性に関係しています。なぜなら、時間概念の発達が「待つという行動の獲得につながるからです⏰例えば、時計や曜日の理解が難しい子供に、「お誕生日に買ってあげるね!」や「クリスマスにサンタさんにもらおうね!」と言われても理解ができないので、我慢することが余計に難しくなります😥

この様に子供が指示通りに行動できるかは、大人がその子供の理解できる言葉で指示を出す必要があるとも言えますね👆

私自身も日頃の療育で子供達がどこまでの言葉が理解できているかしっかり評価する👀❗️という事を大切にしています。そこが適切に評価できると、指示の出し方は自然と正しく選べるかなと考えています🤗(評価の腕がSTとしての力量の差になると思いますので、日々精進です〜😂💦)

※次回は【抽象概念】と【仮説演繹的思考】について書いていこうと思います。